読了本

おそろし 三島屋変調百物語事始

おそろし 三島屋変調百物語事始

三島屋では姪のおちかに「今風の百物語」を聞き集める機会を与えた。語られる話はどれも背筋がそそけだつようなものばかり、中にはおちか自身のむごい体験も含まれる。松太郎のくだりは本当に陰惨で、宮部さんもよく考えるなあ、人の心の闇を描くのがうまいなあと空恐ろしくなったのだが、終盤の対決はやけにハートフルな感じで何だか肩すかしをくらったというか、逆に薄ら寒いような気持ちになった。家守という毒が残っていたのが救いか……でもこれだけのページ数を一気に読ませてしまう筆力はさすが。百物語の続きが読みたい。