読了本・コミックス

イロドリミドリ (マーガレットコミックス)

イロドリミドリ (マーガレットコミックス)

短編集。丁寧なタッチと繊細な心理描写でじっくり読ませる。過去4年の間に発表された読み切り4作は新しいものほど見せ方がうまくなってると思う。最新作「イロドリミドリ」にはちょっと泣けてしまった。巻末描きおろし分の描写が本編の最初のほうにさりげなく組み込まれてるともっとよかったな……でも作品に流れるゆったりした空気がとても好きだ。この作家さんは表情に手を抜かないところも好ましい。終盤のあたりは題材の扱いや展開にちょっと雑なところもあるけれど、玉緒の思いは言葉でなく表情で細やかに語られる。
続けざまにショックをうけ、すべて自分の一人相撲だったいたたまれなさから混乱する玉緒。何も知らずに浮かれていた自分を受け入れられないでいた翌日(だよね?)、手紙を受け取る。知っていて許してくれた緑くんへの申し訳なさと感謝からあふれる涙が止まらない。そして自分のほんとうの気持ちを知る。肝心なことは何か……「星の王子さま」の一節が重みを増してゆくラストは切ないけれど前向きに描かれてて、ポジティブな未来を予想させるところがよかった。「糸と釦」の駒子もけっこう百面相なのだが、失恋後の泣き顔には読んでるこっちもじわっときた。おすすめ。

コルセットに翼 2 (プリンセスコミックス)

コルセットに翼 2 (プリンセスコミックス)

悪魔のようなミス・デスデモーナのもとで辛い学園生活を送るクリス。闘志を失わない芯の強い女の子が主人公だけど、やっぱり年が若すぎるせいか自分で物語をひっぱっていくまでにはいかないね。いろんな人が手助けしてくれるしな……まあそこが歯がゆくも面白いんだけど。女の子たちも可愛くて眼福。しかしラングトン博士も画家ラファエルもちょっとアブない人にしか見えないのだが、この時代ではわりと普通の嗜好だったんですかね。

とらわれごっこ 第3巻 (花とゆめCOMICS)

とらわれごっこ 第3巻 (花とゆめCOMICS)

大熊さんと小熊くんのういういしいラブコメ展開も好きなんだけど、美樹兄と千夏に焦点をあてるならスピンオフとしてはっきり別作品にしてしまって、もう少し大人っぽい恋愛ものを展開するのもありだったのではと思う。くまくまレベルに合わせてしまうと、社会人な美樹兄がちょっとカマトトすぎやしないか?