読了本
- 作者: 飯嶋和一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: 単行本
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この乱はたんなる宗教戦争ではなく長らく民に強いてきた悪政のつけがまわったために起きたこと、いまだ戦国の気風を残し徳川政権も安定したとはいいがたい時代であったことなどについて知識を入れていたおかげか、この長大な物語をさほど混乱せずに読みとおせたが(地理については後から調べた。地図がついてるとよかったな)、蜂起軍が原城跡に立てこもってからの救いのなさはしんどかった。統率のとれてないアホな討伐軍がどれだけやっつけられても、同じ国の民どうしで潰しあってることには変わりなく、篭城している側も最後には全滅するのが分かっていたから。
ジェロニモ(天草)四郎もわりとアホの子に描かれてたのは意外だった。宗教は苦しみを癒す心の支えにもなれば、人を思考停止に陥らせやすいものでもあるのだなあ……。流れに逆らうことがもはや叶わないとき、理性を保ち続けている者は辛い。南目衆を率いる鬼塚監物とか長崎から派遣された陳継光とか。後者の登場は悲惨な戦場において一服の清涼剤でもあった。「こんな狂人を誰が呼んできたのかと皆青ざめた」には思わず笑ってしまったが、本当はこの場で最もまともな判断力を持った人間だったという皮肉。
- 作者: 梶井基次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
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