読了本

平安朝が舞台のロマンティック・ミステリー第二弾。いやはや、面白かったー! “檜扇の要”の推理にも目をみはったが“踊る足跡”の謎にはがばっと身を乗り出し「こ、これは本格ミステリなのではっ?」と嬉しさに思わず身震いした。終盤で張り巡らされた伏線が一気に回収され、パタパタパタッと風呂敷がたたまれていくさまもいとをかし。あなどりがたしコバルト文庫、このミスは責任持って本作を紹介すべし。
現代的なアレンジはしてあるけど時代の雰囲気もよく出ていて感心した。牛車の車輪がきしまないように水に漬けておくとかいった日常描写は付け焼刃では織り込めないよな。幻想・怪奇色がふっとにじみでるのもらしくてよかった。作者はかなり平安朝への造詣が深いのだろう。ホームズ役・馨子のキャラも相変わらず楽しかったし、蛍の宮と次郎君もおいしかったし……。今いちばん続きが待ち遠しいシリーズかも。