読了本

初春の客 御宿かわせみ傑作選

初春の客 御宿かわせみ傑作選

先日おむらさんに薦めたものの、この傑作選じたいは無責任にも未読だった。飛び飛びだと話が見えなかったりするかもと一抹の不安はあったのだが、ちょっとそういうとこがなきにしもあらずだな……ごめんなさい。ただやっぱり「かわせみ」シリーズは東吾、源さん、宗太郎の三羽烏が揃ってからが面白いので、宗太郎が登場する8巻目まで東吾とるいのいちゃいちゃに眼をつぶっててもらうよりは傑作選で手っ取り早くおいしいところを読んでもらったほうが、という気持ちはあるんだよな。
私がかわせみの男性キャラでいちばん好きなのは源三郎、僅差で宗太郎、通之進は別格で、東吾が来るのはその次なので(東吾も好きだがモテすぎが欠点)この傑作選はほんとに読んでて楽しい。「源三郎祝言」「忠三郎転生」あたりの恋模様には思わずにこにこしてしまう。「白萩屋敷の月」のもの哀しさもいい。でもかわせみファンの間でも1、2の人気をあらそう「岸和田の姫」はほぼ色恋沙汰がからまない話だ。市井の暮らしを偲ぶ花姫の思いが時代もの好き読者の共感を呼ぶのかもしれない。