読了本

偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件

偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件

読書相談室からのピックアップ本。なぜかくも明らかな偽書の影響が今にいたるまで引きずられているのかを追ったルポで、エンタメ・ノンフの傑作。旧石器遺跡捏造事件を追った発掘捏造 (新潮文庫)を思い出すが、雰囲気はかなり違う。真実を暴く! とか正義をふりかざすようなとこがないのは、ウソをつき続ける人の心理と、そのウソがまかりとおるメカニズムについての興味や好奇心が根底にあるからなのかな……。著者はあれだけ悪く言われてても和田氏やその一派の“人間性”を否定しない(“学説”はともかく)。だから読後にイヤな感じが残らないのだと思う。騒動の顛末も含めて面白かった。