主将ハイジの陰謀で半強制的に
箱根駅伝をめざすことになった竹青荘の住人たち。陸上未経験者ぞろいの無名チーム・寛政大の明日はどっちだ! 練習の日々はユーモラスな雰囲気を湛えつつも、どちらかといえば淡々とした感じで進んでいく(
佐々木倫子のマンガみたいな)。走は問題児っぽく登場した割には至って普通の青年でメン
バーとの軋轢も特になく、善悪が分からないとかのフリが宙に浮いてしまった気もしたが、クライマックスである
箱根駅伝本番のくだりはじっくり描かれてて読み応えがあった。神童もちゃんと走らせてやりたかったな……。
山口晃の表紙も折に触れ眺めてしまう秀逸さ。
アンソロ
ジー続編。こういう機会でもなければ一生読まなかったであろう渋いのが並ぶ。
内田百けん「とほぼえ」は面白かった。旧かなづかいだったことに解説読んではじめて気づいた。しかし「ぼんち」と「ある女の生涯」はしんどかった……頁数も比較的多くて、まだ終わらないのかと呻きたくなるほど酷い話。だがそれも作品の力なのだろう。「押入の中の鏡花先生」「家霊」も面白かった。やっぱりどこかカラッとしたとこのあるのが好きだ。