読了本・コミックス

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上 (単行本コミックス)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上 (単行本コミックス)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 下 (2)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 下 (2)

最近の小説コミカライズのなかではダントツにいい出来。話運びに無理がなく、説明不足なところや元のイメージとそぐわない部分もなかった。これはかなり原作を読み込んで、どう漫画に変換していったらいいかを考えてあるんじゃないだろうか。絵もうまく、キャラに可愛らしさのみならず情感をも込められる人なのはよかった。さじ加減によってはぶち壊しになってしまう繊細な物語をよく制御してあり、しかも面白い。上下巻というボリュームもいい。1巻本だったらいろいろ描ききれてなかったかもしれないし。
ただ終盤の、かつて二人で歩いた田舎道をいまはひとりで……というシーンは夏と秋で季節が違えば風景も変わってくるだろうに、まったく同じじゃ変だよなあとか思ったけれど、逆に言えばそんなことくらいしか引っかかるとこがなかったほど完成度が高かったのだな。で結局、うさぎは誰の仕業だったんだろう。コミック版の藻屑をみるとますます彼女を疑えなくなる。あんなちゃちな鍵、誰でも壊せそうだしさ。カバンにだって普通入れないでしょ。濡れ衣きせるときの常套手段だし。いちばんやりそうなのは「おとうさん」だが、動機が……。