読了本

ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)

ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)

国書刊行会からジーヴスものに続いてブランディングズ城ものが刊行開始。頭の回転が速いとは到底いいがたいブタ至上主義の第九代エムズワース伯爵クラレンスと、その周辺人物たちが巻き起こす大騒動を描いたユーモア小説。登場人物たちがとにかくユニークだ。会話やエピソードに多少冗長でマンネリなとこがありつつも面白かった。ドリフのコントとか、ああいうのの小説版という感じ。とくに執事ビーチが告発されかけるくだりは楽しかった。この小説では小賢しいやつは憎まれ、まぬけ一歩寸前の人の良さは天性の美質として愛されるのである。呑気な兄に欠落した才知を発揮する陽気な弟ギャラハッドはまるで主人公のようにいいところをかっさらっていったけれど、影の主役はブタのエンプレス・オブ・ブランディングズなんだろうなあ。何だか妙に可愛い。