読了本

新装版 猿丸幻視行 (講談社文庫)

新装版 猿丸幻視行 (講談社文庫)

いろは歌に秘められた暗号から万葉歌人柿本人麻呂の謎に迫る。しかも探偵役はあの折口信夫……とくれば歴史ミステリ好きにはよだれの出るようなシチュである。初版は1980年だが今読んでも古びてない。昔これにハマって『水底の歌』から梅原作品も読み漁ったなあ。普通のミステリとしては薄いのだけど、歴史の謎とき部分はどこまでが史実でどこからが虚構かの境目が分からないほどなめらかで思わず引き込まれる。ミステリ的にはアレだが歴史の謎解き部分が素晴らしく説得力がある作品といえば『QED 百人一首の呪 (講談社文庫)』を思い出す。あわせて読むと面白いと思う。