読了本

宮沢賢治―存在の祭りの中へ (岩波現代文庫―文芸)

宮沢賢治―存在の祭りの中へ (岩波現代文庫―文芸)

文章は平明でも表現に特徴があるというか、かなり韻文的でところどころよく分からなかったのだけれど(頭で理解しようとするからだろうか、作者は高校生でも読めるように書いたというのに)、この評論の集大成である「雨ニモマケズ」の解釈はすとんと腑に落ちた。「じぶんのたおれたところからもっと遠くまでゆくためには何と何が必要か?」……何だかもう泣きたくなる。でもこの詩はそういう感傷とは無縁の、理性的な深い洞察によって生まれたものなのだ。たぶん。
しかしどうして最近こんなに宮沢賢治が気になるんだろ、と思ってたらこの前BSアニメ夜話で『銀河鉄道の夜』を観たからだわ。つぎは童話を読もう……。高校のころ国語のテキストとして読んだときは言葉にできなかった『猫の事務所』の「ぼくは半分獅子に同感です」がなぜ「半分」なのか、今ならその意味が分かるような気がする。