読了本

木洩れ日に泳ぐ魚

木洩れ日に泳ぐ魚

むー、珍しくオチが置き去りにされてない話だが、あんまり面白くなかった……。恩田陸に対してはすでに「迷走を始めるまでの盛り上がりっぷりを楽しめればいいや」という心境なんだけども、今回は異空間に取り込まれるような幻惑感もなく、擬似家族の崩壊という悲劇要素もなんだか妙にちゃちで地味で、恩田陸でなくても書けるじゃない?ってな話だった。会話やモノローグだけで話が進むスタイルは、よほど展開や語り手のキャラが魅力的でないと退屈になると思う。

電脳コイル〈1〉 (トクマ・ノベルズedge)

電脳コイル〈1〉 (トクマ・ノベルズedge)

電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge)

電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge)

アニメ版「電脳コイル」は週一のひそかな癒しタイムだ。あの懐かしくも謎めいた雰囲気……霧にけむる夕暮れの町の不思議な感じがたまらない。が、小説版のほうは違っていた。描かれているのはあくまで近未来の小学生たちで、セピアがかった読者の過去とは重ならないのだった。エピソードなどはかぶっているのに、どうしてこうも醸しだされる雰囲気が異なるのか。磯さんと宮村さんとでどれだけ作品の解釈に隔たりがあるのだろうか。小説は小説で面白いけど、私が惹かれる要素はかなり薄らいでいる。