読了本

ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ 1287)

ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ 1287)

安楽椅子探偵ブロンクスのママ”が主人公の短編集。とても痛快で面白かった。ごくごく普通の、だが社会経験と人間観察に長けた主婦が殺人課の刑事もお手上げの事件を解き明かしていく。事件に関わった者の不可解な行動を身近な知り合いになぞらえて推理するのはミス・マープルもやっていたが、ママは息子を手のひらの上で転がし、嫁とは皮肉を戦わせて連戦連勝なあたりがユーモラス。どの話も楽しく読んだ(そしてどれひとつとして答えが出る前には正解にたどり着かなかった)が「ママが泣いた」「ママは覚えている」がとくに印象的だった。ママがとてもチャーミングで。