読了本

廃帝綺譚

廃帝綺譚

王者を守護する極東の秘宝をめぐる大幻想絵巻、『安徳天皇漂海記』の続編にして完結編……なのか? 前作で綺麗に終わっていると思ってたけど、蒙古の王より始まった伝説にはピリオドがうたれ、将軍実朝の歌にも番わせるにふさわしい歌が応えていることで物語は念入りにしめくくられていた。だが亡国の王たちが語り手なせいか、宝玉の驚異をもってしても暗く物哀しいムードが拭い去りがたい。こういうのも嫌いじゃないが、前作が眩しくて目もくらむような幕引きだったからなあ。寂しいので過去の作品へ遡って読んでいこうと思う。
追記。帝が着ている衣の禁色「山鳩色」ってこんな色だそうだ。渋い。
http://www.colordic.org/colorsample/2133.html