読了本

中盤くらいまではスローペースなんだけど終盤で一気に加速する。重が囚われかけた暗い思いには叫びだしそうになってしまった。しかしいくら訳があろうともさやのやったことは許しがたいぜ。重もジョン平も優しすぎるよなあ。本巻でシリーズ一区切りとのことだが、まだまだ続いてほしいものだ。ところで「このまま馴致が進まなかったらジョン平の寿命が延びない」と重が悩むシーンがあるのだが、ほろっとくると同時にちょっと羨ましかった。いいなこの世界は……。

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)

ある夏にカタカナの町で起こった不思議な事件。メフィスト賞受賞作だけどミステリという感じではない。でもホラーやファンタジーかというとちょっと違う。解説では“かつての少年少女のための児童文学”と書かれてるが、確かに往年の大海赫天沢退二郎などの陰があって妖しい雰囲気の児童文学と似た香りがする。かつてのじゃなくて主人公と同い年くらいの小学生にすすめてみたらどうだろう? トラウマ本としてずっと心に残り、ふとした折に思い出す作品になるんじゃなかろうか。続編があるみたいなので楽しみ。

まんまこと まんまことシリーズ 1

まんまこと まんまことシリーズ 1

名主の跡取り息子が町内で起こった事件を解決する「日常の謎」系時代もの。読んでる間はけっこう面白かった。ただ時代ものとしてもミステリとしてもライトな感じで、あまり後には残らない。畠中作品は時代ものしか読んでないのだけれど、なぜ主人公の口調がいつも同じなんだろう? 何かこだわりでもあるのだろうか。若旦那には似合っても、これや「ゆめつげ」の主人公だとちょっと違和感がある。