読了本

青に候

青に候

著者初の時代小説とのこと。私にとっても初の志水作品。時代ものがこれだけ魅力的だと他ジャンルのも読んでみたくなるなあ。冒頭で描かれるのは何やら追われる身であるらしい佐平の現在。この時点ではまだ話が見えず、彼が「安心して感情移入していいキャラ」なのかも分からなくてちょっと戸惑った。初めて読む作家だからいろいろ身構えていたわけだ。しかし佐平の過去、生い立ちや関わった事件の詳細が語られ始める14章あたりからぐんぐん面白くなって、あとは一気に読みきった。タイトルの意味は終盤で明らかになる。もっと救いのない結末になっても驚かなかったのだけど、作者は私がイメージしていたよりも闇属性の人じゃないらしい(←ハードボイルド作家への偏見かも)。古風で爽やかな青春小説の佳品だと思う。