読了本

話はシリアスでありつつ、新キャラとおなじみキャラが入り乱れてとても賑やか。だが「こいつ誰だっけ?」というのがいないのはみごと。権謀術数うずまく宮廷のなかで秀麗の物怖じしない前向きさと行動力が発揮されるのが相変わらず痛快だ。清雅のいびりが秀麗を急成長させてる、ってのは分かるんだけど燕青が出てきてくれてホッとした。そばにいるのがタンタンだけじゃイザってときに頼りないし。しかし血が止まらないってアレは何なんだ。やけに伏線やヒキの多い巻ではあった。十三姫が憎めない子で意外。劉輝の相手としてはありなんじゃないの? とか思ったけど少女小説的には純愛をつらぬいてくれないと困る、のかも。

物語はダヴィンチ・コードばりの急展開を見せる。いやーバ(略)が出てくると楽しいわ。いないと何か物足りなくて。生きているものは変わってゆくもの、というレギーネの言葉に妙に胸を打たれる。まだまだ謎の多いクリスティーナだが、徐々に核心にせまりつつある予感がする。さて能力ないとかいって実は魅惑のビームかなんかをナチュラルに振りまいてんじゃないのと疑うほどにモテモテの遼太郎は今回意外な力を発揮する。でも周囲の扱いがぜんぜん変わらないのが喜ばしいんだか可哀相なんだか。