読了本

馬琴の嫁

馬琴の嫁

戯作者・馬琴が当主の瀧澤家。そこに嫁に入った“みち”の視点で描いた家族の記録。舅は堅苦しく姑は癇性、夫は病弱で婢は居着かない。不幸がデフォルトの瀧澤家のなかで心身が休まる暇もなく働きつづける嫁の姿にこちらの胃まで痛んでくるが、文章はあっさりしてるのですいすい読める。ボヤを必死に消し止めたのは嫁なのに「日ごろの信心のおかげで助かった」って、そりゃないんじゃないの馬琴先生!
晩年は見直したけど。長寿なゆえに新作が出るたび死亡説が流れて弔問客がやってくるというくだりには思わず笑ってしまった。