読了本・コミックス

げんしけん(8) (アフタヌーンKC)

げんしけん(8) (アフタヌーンKC)

アフタヌーンを購読し始めたのは荻上ヒロイン化が始まるちょっと前からで、漫研を引っ掻き回していた頃の痛い荻上のことはぜんぜん知らない。わりと賛否両論らしい荻上編にするっと入り込めたのはそのせいかもしれない。現視研の背景とか未だによく分かってないのだが、荻上と笹原というオタクの業を背負ったふたりの恋路をたどっていくだけでけっこう満足。しかし荻上は勇気あるよなあ……。コミックス買う気なかったのに雑誌未掲載のが2話ぶんも載ってると聞いて買ってしまった。空白埋めてくれるのは嬉しいけどホントにもう「普通に連載してりゃいいじゃん」!

さらい屋五葉 第1集 (IKKI COMICS)

さらい屋五葉 第1集 (IKKI COMICS)

オノさんが日本の時代物ってどうなんだろう? と不安があったのだけど、読んでみたら杞憂だった。すっごく面白かった。匂い立つような独特の雰囲気があって――そこには確かに「江戸の匂い」も感じられた。フキダシのなかの台詞の最後に「。」が打ってあるのが話のテンポを整えてるんじゃないだろうか。貧乏で気が弱くてお人好し、だが実は腕の立つ浪人・秋津政之助はひょんなことから「五葉」と名乗るかどわかし専門の賊の仲間(未満)となってしまう。さりげない素振りで深みにはまらせた張本人の弥一は飄々とした遊び人だが、何か剣呑なものを内に秘めていそうなのが気になる。続きが楽しみでならない。ついでに梅さんラヴ。

LA QUINTA CAMERA―5番目の部屋 (IKKI COMIX)

LA QUINTA CAMERA―5番目の部屋 (IKKI COMIX)

ぺんぎん書房版を買ってあったのに積ん読のまま日を過ごし……。でも新作2編追加で復刊されたならまた買わねばなるまい。リスパラやさらい屋とはぜんぜん違うデフォルメのきいた絵柄はくせになる可愛らしさ。シンプルだけどじんわりくるストーリーが知らぬ間に読む者をとりこにする。4人の個性的な中年男が住むアパートの5番目の部屋は、入れ替わり立ちかわりやってくる留学生のためのもの。ゆるやかに時は過ぎ、変化はあたたかく迎えられる。イタリアを愛する作者の本領発揮な、人生を楽しんでいる人たちの物語。

魔法使いの娘 (3) (ウィングス・コミックス)

魔法使いの娘 (3) (ウィングス・コミックス)

魔法使いの娘 (4) (ウィングス・コミックス)

魔法使いの娘 (4) (ウィングス・コミックス)

高名な陰陽師だが典型的なダメ大人の無山が、実はこの世でいちばん恐ろしい人間であることが徐々に明らかになっていく。でもまだまだ底知れないんだよな〜、那洲さんはこの先どんな展開を用意しているのだろう。ヒロインが普通の女の子だったら暗い展開になりそうなところだが、初音は尋常でない境遇にもまったくへこたれず、義理パパの大ボケには容赦なくつっこむタフさを失わないからぐいぐい読ませる。「めそめそ」という言葉は初音の辞書にはないんだろうな。でもホラー描写はけっこう怖い。おかあさんには悲鳴をあげそうになったよ! 黒尽くめの無畏さんがすっかり三枚目キャラになってしまったのはちょっと残念。