読了本

さくら

さくら

中盤くらいまで話がどこを目指しているのか分からず、このまま主人公が少年時代から今に至るまでの家族の思い出をつらつら語っていくだけなのかな、まあこれはこれでのどかで面白い、とか思っていたのだが。現在をかたちづくるのはささいな出来事の積み重ねだ。順風満帆だったはずの長谷川一家を乗せた船は突然の嵐にみるまに梶を失い、知らぬうちに空いていた船底の穴から浸水し続けていたことも手伝ってあわや転覆しかける。船が救われたのは“奇跡”のおかげかもしれないけれど、これまでの日々を大切に過ごしてきたからこそギリギリのとこで運をつかむことができたんだろうなあ……(って、期せずしてダジャレになってしまった)。

さくら〈1〉 (大活字文庫)
大活字版(4分冊)は犬のサクラが表紙でかわいい。