読了本・コミックス

お振るいあそばせ! (ウィングス・コミックス)

お振るいあそばせ! (ウィングス・コミックス)

この人の作品、「旬」は面白かったけど「罪と罰」はいまいちピンとこなくて、不思議っぽい題材を扱うよりも日常的な現代ものの方が向いてるのかも、なんて思っていたのだった。この短篇集では表題作は現代もののほんわかラブコメ、残りはホラーテイストも入った現代ファンタジーなのだが……むう、どれもいいな。いちばん心に残ったのは「キリエの場合」で、けっこうシリアスな幻想譚。そういう話であってもドロドロ暗いだけにはしないで、笑いや抒情をにじませるところが鈴木さんの味でもあるのだけど、もし「夜明けまえ」の続きが描かれるならどシリアスな展開で読んでみたい(あとがきによればそうはならないらしいが)。ゆうながキリエと正反対のポジティブヒロインなところはツボった。