あとがきによれば『21世紀本格』所収「メンツェルのチェスプレイヤー」の続編だそうだ。そっちを先に読めばよかったかも。最初のほうはすごくスリリングで面白かったのだけど、話が進むほどに難解になって、終盤のほうはよくわからなかった……。どっちがどう勝ったんだ? アノヒトたちはどこへ? 同じ「ぼく」視点が交互に出てくるのも混乱に拍車をかけた(これは狙い通りなのかな)。それにつけても「
指輪物語」を読み返したくなる。引用されるたびに涙出そうになったが、まさかロボットと
ホビットが繋がるとはねえ!
「八本脚の蝶
ISBN:4591090906」に出てきて印象に残っていた本。表紙にちらりと姿を見せている「何か」の正体が知りたくてたまらず一気に読んだ。見世物、
こっくりさん、
新興宗教、霊界ラジオといった素材の醸しだす俗っぽさが次第に狂気じみた恐怖に侵されていき、ついには現実と妄想の区別がさだかでなくなる。頭のぐらぐらするような読後感だ。しかし
篠田真由美の解説はどうなんだろう……余韻がだいなしでは?