未来屋と名乗る謎の青年のペースに巻き込まれつつ、
風太の小学生最後の夏休みは過ぎていく。ほのぼのミステリーに見えて実はホラーっぽい描写もかなりあり、しかも巧いのだった。謎めいたシチュのわくわく感とぞくぞく感をうまくとらえている。
神隠しが起こるのかも、のとこはヘタなホラー漫画よりも怖かった。絵柄が上手いしコマ運びも丁寧、原作未読だがコミカライズとしてはとても上等な部類に入るのではないだろうか。原作も読もうっと。ポチのハゲだけちょっと納得できないのだが……。
妖怪に乗っ取られた兄の敵討ちのため天竺へ取経の旅に出た少女テンテン。「
西遊記」がモトネタのアクションファンタ
ジーだが、旅の仲間ゴクウがとっても
島本和彦っぽく、「
聖闘士星矢」や「
北斗の拳」のパロも巧いので器用に描けるだけの人なのかな……? と思ってたら2巻でのテンテンの受難などはかなりシビアで物語にのめりこませてくれるのであった。ラブラブ光線発射中のゴジョウにはつい笑ってしまうけど、ギャグにみせかけて人物相関図はかなり複雑だ。今後が楽しみ。「
少年シリウス」もけっこう侮れないなあ。
帯で古田左介がプッシュされていたのもむべなるかな、主人公以外の戦国武将たちの印象が非常に強かった巻(左介もけっこう素っ頓狂なことやってるんだけどなあ、相変わらずの数奇者ぶりで)。なかでも好きなのは
織田信長の描き方だ。懐の深さと器の大きさとが相まってとても魅力的なキャラになっている。
本能寺の変はどのような切り口で描かれるのだろう。でも左介に対して「ひょうげた奴よ、ハッハッハ」ってばかりじゃなくてヒヤッとさせられるようなとこも見せて欲しいかも。
完結。慌ただしく風呂敷たたんだなあ……という感もあるけど、これ以上の終わり方はもはや想像できない。シルヴァンがずいぶんいいトコかっさらっていったけれどね(バイモ兄様よりもだ)。少女漫画フリークなばっちょだからこそのラストシーンはけっこう嬉しかった。その後ふたりがどういう世界をつくっていたかをもうちょっと見たかったけど、ごくごく普通の
カップルとして地味に余生を送ったというほうがしっくりくるかもな。
バルドル一家は花の名前で統一されてたのね。