読了本

犬のしっぽを撫でながら

犬のしっぽを撫でながら

しゃべるのはあまり得意ではない。ひとりでいくらでも黙っていられる。もちろん頭の中では色々なことを考えているのだけれど、口にしたとたん考えていたことからどんどん掛け離れていく実感があって、熱弁はふるいたくともふるえない。テレパシーで会話できたらよいのだが。文章にしたほうがまだ近いことを表現できる。本を読むのが好きなのは、黙読するのになんの不都合もないから。読書は「無口でいられる自由を与えてくれる」のである。そして静寂を愛する著者の文章はとても心地がよい。