藤沢周平展

小雨降るなか、世田谷文学館開館10周年記念「藤沢周平の世界展」に行ってきた。
http://www.setabun.or.jp/fujisawashuuhei.htm


実際に愛用した品々で再現された書斎は4畳半くらいの小部屋。なんと庶民的な。これだけでも人柄がしのばれる。生活感があってくつろげて、こんな書斎なら私もほしいと淡い憧れを覚えた。机の上には大きな湯呑みや文鎮代わりの刀の鍔などと共に、おもちゃの万華鏡や都こんぶの小箱などが置かれている。執筆の合間にもてあそんだのだろうか(図録にはミニサッカーボールも見て取れる。孫のものか?)。本棚に海外ミステリの文庫がぎっしり詰まっているのも意外だった。
図録は限定1000部とのことで売り切れが心配だったけど、まだ表に50冊は積んであった。奥にはもっとあるのだろう。図版が小さめだが展示の説明文の読み落としたところなども確認できて便利。ロビーでは小規模ながら山形物産展をやっていた。乾蕎麦2種と小茄子、赤カブの漬物を買う。「天狗そば」は水で戻すやり方を売り子さんにすすめられる。水に漬けて30分、茹で5分。なかなか美味しかった。

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

「盲目剣谺返し」で検索してくる人が妙に多いのは何故だろうと不思議に思ってたら、キムタク主演で映画化するのだそうだ。彼がずっと前に織田信長役をやったときは結構似合ってると思ったけど、藤沢周平の、それもとりわけ端正な短編の主人公役となるとどうなんだろう? 個人的にはイメージに合わなさすぎなのだが、彼が武家らしい所作と言葉遣いを身につけたら案外化けるかもしれない。既存の枠を破って役者として大きく成長、と。従来のイメージを殺すことに徹すれば、あるいは……。
しかしそんな冒険をせずとも、もっとキムタクに似合うニヒルでダーティで人間臭いキャラの話が隠し剣シリーズの中にはいくらでもあると思うのだが。例えば「女人剣さざ波」のダンナ役とかいいんじゃないか? 妻の邦江もかわいいし(ちょいブスなのがまたいい)。あの二人の後日談はとても気になっていたので、それを映画では描いてくれるとかいうんだったらすごく嬉しかったのになあ……なんて今更しかたないけど(そもそもさざ波のダンナは剣遣えないから問題外か)。
http://www.daily.co.jp/gossip/2005/10/06/189755.shtml