読了本・コミックス

新鉄拳チンミ(20) (講談社コミックス月刊マガジン)

新鉄拳チンミ(20) (講談社コミックス月刊マガジン)

「新鉄拳チンミ」14巻〜20巻、いわゆる“水軍編”。
カナン編のトラウマが消えていないので(ボル将軍こわすぎなのよ……)、とりあえず水軍編から先に読んでみたら、めちゃめちゃ面白くて一気に読破。かつて天覧武道会で腕を競い合ったチンミ、シーファン、タンタンの三人は皇帝の密命を受け水軍内部に潜入する。しかしそこにはとてつもない陰謀が待ち受けていたのであった。チンミたちがチームワークで難敵に立ち向かうという展開も燃えるけど、海の男と戦艦が繰り広げるダイナミックな海戦の様子もまた燃える。スペクタクルな映像が目に見えるようだ。ハリウッドなら巨額を投じて再現しなければならないところを紙面上でやってしまえるんだからマンガってすごいよな。一対一でなくコンビネーションによる戦闘スタイルもこれまであんまりなかったからとても新鮮だ。主役3人のキャラのバランスもよいし、迫力いっぱいのアクションと共にコミカルな演出もきいてて、たいへん胸躍る冒険活劇になっている。のどかなエンディングもいい。私が前川マンガ好きなのは、基本的に絵と話が愉快で可愛いからなのだ。サルのゴクウが特に愛らしいね!

「新鉄拳チンミ」1巻〜13巻、いわゆる“カナン編”。
圧政に苦しむ自治区カナンの人々を救うため、ホウジュン率いるレジスタンスに力を貸すことになったチンミ。国を乗っ取った血も涙もない悪人たちが背筋の凍るほど恐ろしくて、コミックスで追いかけることすらできなくなっていたネズミの心臓の私は、先に最終章のクライマックスを覗き見てから続きにとりかからせてもらった。ちなみにミステリでも結末を先に読んでしまうタイプである。先を知ってても恐いのに変わりはなかったけどね……どうしたらカナンが解放されるのか、ボルやソウビを倒せるのか、希望がぜんぜん見えてこないんだもの。反乱軍の決起も実は失敗するんじゃないのかとオロオロ。禁断の秘技「雷神」をめぐる終盤の攻防はまさに息をもつかせぬ展開で、話の落としどころをああいうふうに持っていったのはホント巧いよなあと思う。前川たけしの“動き”のある絵にはいつも唸らされていたが、アニメ的素養のある人だったのだね。昔アニメ化したときはさんざんだった記憶があるけど、カナン編や水軍編のスピード感あふれるストーリーはアニメで観てみたい。へんな萌えキャラはなしで。