読了本

冷蔵庫との対話―アクセル・ハッケ傑作集 ポケットにライ麦を (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
『冷蔵庫との対話 アクセル・ハッケ傑作集』アクセル・ハッケ/諏訪 功訳(三修社、2004)。
日常のあれこれを誇張して、ときに誇大妄想のようになっちゃったのをブラックユーモアで味づけしたコラム群をまとめた本。現在も連載中とのこと。けっこう笑った。へんくつオヤジと化した三浦しをんが書いたみたいな……ただしオタクなネタは出てこないが。あるのは社会のしきたりと最新機器への呪いだ。なぜ人はもっとシンプルに暮らせないのか? とぼやきつつも、改革の情熱などはハナから持ち合わせがない。旧型冷蔵庫“ボッシュ”とビールを飲みながら語り合うオッサンの図というのもシュールである。しかしボッシュはなかなかいい相棒なのだ、ことあるごとに衝突している妻のパオラが実はそうであるように。

『ポケットにライ麦を』アガサ・クリスティー/宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫、1976)。
ミス・マープルもの。上の書影はクリスティー文庫のほう。
前に一度読んだのに内容をほとんど覚えていない。ただ「お茶を淹れるのがとてもヘタな秘書」のことは何故か印象に残っていて、きっと事件のキーパーソンに違いないと注目しつづけていた、のだが。……うーん、これは前回の予想のなごりだったか? ミス・マープル安楽椅子探偵どころか、歳の割にはかなり活動的なおばあちゃんだ。今回も彼女はセント・メアリ・ミードの外に出かけていく。マープルものを読むと、いつも人の悪意を疑ってかかるということと世の中を信じなくなるのとはイコールじゃないんだなあと思う。