読了本

ポアロ登場』アガサ・クリスティー小倉多加志訳(ハヤカワ文庫、1978)。
アニメより先に元ネタを読んでおきたいなと思って。「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」と「安マンションの謎」はこれで読めた。マープルのほうはどの本を読めばいいだろう? さてこの本のポアロは口調が普通の人っぽいので何となく違和感がある。もったいぶったところが薄いのだ。実写のデビッド・スーシェのイメージが強いし、あのポアロが好きだからなあ。「総理大臣の失踪」が楽しかった。ラストの電報がいかす! こういう粋な人が国のトップにいたらいいよねえ……とないものねだりしたくなる。

『Cotton』紺野キタポプラ社、2003)。
この人の描く“少女でもなく大人の女でもない”キャラクターには独特の雰囲気がある。けがれを知らないというのか……とても綺麗なので、いいなあと思いつつも何となく困ってしまう。作中に「いけないものを見ているような」って台詞があるけれど、むしろヨゴれたわが身が恥ずかしく思われるからなのかも。

死にぞこないの青乙一原作/山本小鉄子作画(幻冬舎コミックス、2003)。
惜しくも原作は越えていないけれど(乙一の文章はありゃ魔法だものなあ)結構いい出来だと思う。絵も巧いし。表題作の先生の嫌らしさはコミック版のほうが上かもしれない。原作ではちょっと納得いかなかった先生の最後の台詞がマサオの心の声になってたので。