読了本

『十三歳の仲人 御宿かわせみ平岩弓枝文藝春秋、2004)。
最新巻。後日文庫化したら第32巻ということになるのかな? 今回の影の主役はかわせみの女中、お石。武州野老沢(ところざわ)から出てきたばかりの頃は山だしの猿公とか女金太郎とか言われていたのにねえ、持ち前の怪力でお吉を助けたりしてたころが懐かしいなあ、なーんて思ってたら……。今でも興奮するとお国なまりが出たりするところが愛嬌があって可愛いお石、ほとんど準レギュラーなのはきっと平岩さんも気に入っているのだろう。「お石の縁談」から「代々木野の金魚まつり」「十三歳の仲人」と続く流れが絶品。読者を驚かせつつ期待は裏切らず。小源は割と最初のほうの巻で出てきたキャラなのだが、原作者は端役であっても忘れずに気に掛けているようだ。

『天使ですよ』遠藤淑子白泉社文庫、2003)。
過去のコミックス短編から12編を収録。わりとボリュームがあるので読み応えがあっていい。「兄貴」「一生の不覚」「憂鬱な王様」「天使ですよ」あたりが特に面白かったけど、どの話も好きだ。動物を擬人化したスマリ系の話も嫌いじゃない。描きおろしの「義無名慈雨夢学園」には思わず笑った。

『《魔法使い》にお願い 運命のタロット1』皆川ゆか講談社X文庫、1992)。
近所の古本屋にほぼ揃っていたので購入。12冊で400円だった。とりあえず第1巻を読んでみる。謎のタロットをめぐるアクションファンタジーらしい。思ったより展開がゆっくりめ。壮大な構想と膨大な伏線を用意しているからかもしれない。主人公が語尾にハートマークを飛ばすたびに多少ひるんでしまうけれど結構おもしろい。続きは気になるのでどんどん行ってしまおう。