御宿かわせみ

『初春弁才船』平岩弓枝文藝春秋)、それから文庫で『お吉の茶碗』『長助の女房』と読み進む。
『お吉の茶碗』は「池の端七軒町」がもう……。素直じゃない性格と失恋の傷心と仕事のストレスが重なってイライラするあまり祖母に優しくできない孫娘の話なのだが、なんだか身につまされて泣けてしょうがなかった。
『長助の女房』の表題作は「千手観音の謎」と対をなす傑作だ。通之進と香苗、そして長助とおえいの夫婦の可愛いことったらない。とくに「長助の女房」はおえいが神林の殿様にぽーっとなるところが可笑しいのだけど、そこで終わらないのが巧い。