大海赫

おおうみ・あかし。児童書界で静かな話題になっているお方だ。子どもの頃に読んでその強烈な作風が忘れられないという人も多いらしい。私とはこれまで縁がなかったが、長く絶版になっていた作品群がこのたびブッキングから復刊されたので読んでみた。
『ドコカの国にようこそ!』は謎の武者に導かれ、幾多の奇妙な試練に耐えながら「ドコカの国」を目指す少年のブラックな冒険譚。『ビビを見た!』はどういう神の気まぐれか盲目の少年の目が見えるようになり、そしてまた見えなくなるまでの恐怖と喜びを鮮烈に描いた幻想譚。……うわぁ、これは怖いな。とくに『ビビ』。話といい挿絵といい、恐くて妖しくて、一度入り込んだら抜け出せなくなるような魅力をたたえている。他の作品も読んでみよっと。