ネット小説とわたくし

 今年はあまり本が読めなかった。というのも、ネット小説にハマってしまったから。横書きなうえに画面で読むと目が滑ってしょうがない、と敬遠していたのについつい手を出してしまったのは確実に『本好きの下剋上』のせいだ。単行本化されてない話の続きを読みたかった、そしたらその後がめちゃめちゃ長かった! 後悔はしていない。ウハウハな一方で、まだスマホしか持ってない頃だったから眼精疲労で死にそうになった。『辺境の老騎士』も未刊行話めあてで読んだし(書籍版はずいぶん良くなってるな、と思った)。で、この頃からウェブで小説を読むことに抵抗がなくなり、萌えの宝箱やー!と手当たりしだいにむさぼり読むように。
 夏ごろ、ポケモンGOがやりたくてスマホの機種変をしたついでにタブレットをゲット。ネット小説漁りに加速度がついてしまった。だって寝転がって読むのに便利なんだよタブレット。私のは防水じゃないけど大判ジップロックに入れてお風呂にも持ち込んでるから捗る捗る。基本、小説家になろうのランキングを参考に探してるけど、それだと最近のしか出てこないから、これから過去作の海にもダイブするつもり。砂に埋れた宝石の原石を探すみたいな楽しさ。未完のままのがけっこうあって凹むけど……。
 なろうはR15までなので、どうしても描写や展開が甘いというかヌルいというか、そこはちょっと不満だったのだが、なろうにR18版があるのを知ったのは割と最近だったりする。ムーンライトノベルズは面白いのが多いんだよなー。でもエロが主眼じゃないやつのほうが深みがあって感情移入できる。エロで大切なのはシチュじゃないんだよ、風情なんだよ。いちおう男性向けのもチェックしてるが、何がどうなってるのかまったくと言っていいほど楽しめない。男と女じゃ萌えポイントがそんなに違うのか? 探し方が悪いのか?
 なろう作品にはいくつか定形があるが、悪役キャラが実は悪ではなかった、という悪役令嬢ものとその派生系の中では『謙虚、堅実をモットーに生きております!』がとても楽しい。最新話(266話)の伊万里さまネタには吹き出した。『令嬢はまったりをご所望。』は私の萌えポイントのひとつである獣人が出て来るのがポイント高い。強くてもふもふ。『そして少女は悪女の体を手に入れる』も天然なヒロインが健気でかわいい。いずれも連載中なので続きが待ち遠しい。
 異世界グルメものでは『康太の異世界ごはん(旧題:居酒屋店主の異世界ごはん)』が非常によかった。すっごい貧乏くさいところが大好き(褒めてるんだよ!)。美味しいものでダメ人間が増殖していくのが和む。書籍化したけどウェブ版と内容変わってるのか? 『かわいいコックさん』は逆ハー風味だけど、主人公は子供になっちゃってて、とにかく猫かわいがりされてるのがいい。でも更新されてないんだよなぁ。グルメもので最近連載が始まったなかでは『エノク第二部隊の遠征ごはん』が楽しみ。どのくらい続くのかな?
 ダンジョンとかモンスターとか魔法とかチートとかの今風ファンタジーものでは『ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント』は面白かった。でもさ、これハーレム化しても朝チュンだからね。ハーレムもの苦手だからいいんだけど。個人的には未成年のうちのほうが面白かった。というのは私が(あんまり自覚なかったけど)ショタ好きなのと無関係ではないのだろう。『身代わり花嫁と竜の騎士』『お菓子の国のアマレッティ』あたりの年下ヒーローは超楽しい。特に後者の俺様っぷり、俺様はキライなのにショタだと許せるのは何故だ。
 胸糞悪い展開から徐々に黒雲が晴れるように大団円をむかえる話も好き。『嫌がらせのために生きると誓った』『騎士の日常』とかもう! もう! 「奴隷」が私の萌えポイントのひとつなんだけど、奴隷根性の卑屈なキャラが好きな訳じゃない。求めるのは最底辺に落とされても這い上がっていく負けず魂的な展開なのだ。私、Sっ気あんましないんで、運命にいじめられたまま、暗黒面に落ちるだけとかってのはちょっとねー。逆にMっ気はあるんだろうな、奴隷にする側じゃなくて、なる側にシンクロして喜んでんだから(笑)。
 その辺を深く描いていくには、制限なしのムーンは最適の環境なのかも。『山田の彼女』はすごかった。R18はほぼ最終話のみなので、エロがなくても面白いものは書けるって見本のような作品。ヒロイン視点の物語だが、山田の気持ちを想像しながらの再読で二度美味しい。『稀代の悪女ベル・ガネスのしくじり』も固唾を呑んでドラマを見守った。だって酷いんだもんヒロインを襲った運命が。だからこそラストが感動的。諸事情で続編ないのが悲しい。『最凶魔女の肉奴隷』はあまりにも長いエログロ展開に「何で私こんなの読んでるんだ」と半泣きだったが、魔女が出てくるまで読み続けてよかった。お城編はちょっと蛇足感あるけど……。『英雄伝説』も思いっきり胸糞展開、けどいつか光は見えるはず。ってバッドエンドになったらどうしよう。その前にもう更新されないかも(涙)。
 リアルタイムで1話からほぼ毎日ウキウキ更新待ちしてた恋愛もの『巻き込まれちゃって異世界』は好みにどストライクでどうしようかと思った。女ひとり男ふたりなのにまさかの非・三角関係という斬新さ。乙女なヤンが可愛すぎてもう……。『死ぬはずだった婚約者の病気が全快したので婚約解消しようと思います』『純情騎士と、異世界からの強制送還に失敗された不憫で不幸な私の話』などのエロコメもさらっと読めて楽しい。『男は狼なのよ(多分)』の第二部、ジョルト兄さんラブなのは多分ショタなせいだ。よん……じゅうよんさいの合法ショタだが。
 ムーンだと異世界転移(あるいは転生)するのもアラサーヒロインだったりするのがいい。チートもハーレムもないけど、異世界で運命の出会いをする大人の恋愛ものは読み応えがある。『不機嫌な騎士は、運命の伴侶』のがんばるヒロイン、『Only with Your Heart』の健気なヒロインはよかった。『変人変人言われてたけど異世界行ったらもっと変な奴ばっかだった』の不憫過ぎるヒーローもたいへん好み。不器用なタイプって可愛いよね。はやく更新されないかな……。『黄金と鍍金』は男装の麗人×ショタ。泣けるんだこれが。けど彼氏のピンク好きには思わず笑ってしまう、微笑ましくて。
 最近じゃ苦手なBLにも手を出している。ガチじゃなければけっこう読める……そして相変わらずショタが好き、らしい。『竜王様のお気に入り!』には少なくとも3回は号泣した。しかも徹夜して一気読み。『水に落ちた少年』も主人公が健気。ケナゲ系キャラも好きなんだな。溺愛ものは嫌いじゃないが、される側じゃなくてする側視点になるとどうしてもヤンデレ臭が漂ってくる。そういう意味では女性向けの『(自称)美魔女な私の異世界見聞録』もヒーロー視点が出て来るたび監禁匂わすものだから引いてしまった感は否めない。ディックよりルードのほうが好きだなぁ、リディは男のシュミ悪いよ。
 最近連載はじまったBLで楽しみなのは『ボク味噌汁しか作れません。in 異世界。』『異世界で立派な犬になる方法』『パラダイス ロスト』『遥の餌付け日誌』あたり。思わず守ってあげたくなる健気な年下主人公か、癒し系のおっさんヒロインだとあんまりこだわらず読めるらしい。あと濡れ場は少なめでいい。なんならなくてもいい。プラトニック上等。『漆黒と聖狼』なんて今のところ未BLなのにちゃんと面白い。でももう半年更新されてないんだよ、うが〜〜〜〜〜〜〜っ。生殺しでほんとツラい。
 ブックマークを参照しながら書き始めたらずいぶん長くなってしまったが、来年もほどほどにネット小説を楽しんで行きたいと思う。私の好きな時代ものや推理ものは、やっぱり書籍のほうがたくさんあるし完成度も高いから、発掘熱が落ち着いたら書籍にウエイトは戻るんじゃないかな?と予想している。だいたいネット小説の目ぼしいやつはすぐに書籍化するしさ。ただ書籍版はイラストがつくのがネックになったりするかな、イメージ違いすぎると醒めてしまうし……。ってキリがないので以上!