読了本

エルフ皇帝の後継者〈上〉 (創元推理文庫)

エルフ皇帝の後継者〈上〉 (創元推理文庫)

エルフ皇帝の後継者〈下〉 (創元推理文庫)

エルフ皇帝の後継者〈下〉 (創元推理文庫)

エルフ皇帝の後継者〈上・下〉/キャサリン・アディスン著、和爾桃子訳
エルフといったらこう、ゴブリンといったらこうという正統派ファンタジーの定形をあえてハズしてきたチャレンジングな物語。主人公の青年が生い立ちも手伝ってものすごく忍耐強く、最初のうちは読んでるこちらのほうが「うがー!」と頭をかきむしってすべてをうっちゃりたくなってしまうくらいなんだけど、徐々に信頼できる人々が増えて居場所が出来てくるのがとても面白くて読み応えがあった。解説の石堂さんによる「もしも同じ世界設定でジョージ・R・R・マーティンが書いたら」には思わず笑ってしまった。そーいう血沸き肉踊る系も嫌いじゃないけどさぁ、ロビン・ホブさんとか女性作家の内省的な趣きのあるファンタジーは、忘れがたい味があってイイね。ダニヴァラン夫人の臨終のくだりとか、思わずもらい泣き。