読了本

からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶/伽古屋圭市
大正時代が舞台のミステリ、シリーズ2作目。おおっ? 面白いなあ! 1作めも良かったけど……その最終章がなぜそうなったか、という理由がこの巻を最終章まで読むとわかるので、この巻から読んでも問題はないけど、やっぱり順番に読んだほうが抒情性が増すなあと思った。また千街さんの解説は、私のようなゆるいミステリファンが「うわあ、気づかなかった、なるほど!」と喜べるような丁寧かつ万事ゆきとどいた説明で二度おいしかった。挿絵は可愛いし、レギュラーキャラにワンコも増えたし、続編が楽しみ。

シャーロック・ホームズの不均衡/似鳥鶏
あとがきがいつもの調子で、本文でもそのとぼけた雰囲気をまとわせてるんだけど、いきなり非情なシビアさを滑りこませてくるのが似鳥さんの芸風だよねえ。そのギャップが魅力な時もあり、違和感が残る時もあり……。保有者とSD案件という設定はなかなかおもしろいと思ったが、『機関』との攻防はなんだかちょっとぬるくないか? 高給でヘッドハンティング、とかならともかく、使い捨てることを厭わないほどの相手な訳でしょ。対するこちらはいつも受け身で、抜本的な解決になってないのは、まあ日本という国の体質っぽいけど。手先になってる出版社をぶっ潰すくらいしてはどうか? それとも辰巳には何か思惑があるのかなぁ。直人も「急いで大人にならなければならなかった子ども」なんだから、そこまで言ったらかわいそうじゃんという件も含めて疑問が残る。状況からしたらスパルタの必要があったとはいえ。これ、続くんだよね? 胸のモヤモヤが残ったまんまなので何とかしてほしい。