読了本

アンソロジー 捨てる

アンソロジー 捨てる

アンソロジー 捨てる/大崎梢篠田真由美、松村比呂美、光原百合、柴田よしき、新津きよみ、永嶋恵美、近藤史恵、福田和代
9人の女流作家による、いっぷう変わったテーマの競作。オール書き下ろし。〈アミの会(仮)〉が絡んだ出版の過程もちょっと変わっているが、今後もこういう企画が続くなら嬉しい。村松さんの「蜜腺」、福田さんの「捨ててもらっていいですか?」、新津さんの「お守り」、永嶋さんの「ババ抜き」あたりがとくに読みごたえがあった。女流、という期待を裏切らないだけでなく期待を裏切る作品が混ざっているのがいいね。

師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録/澤田瞳子
やったー、続編が出た! まだまだ続きそうかな? 真葛は23歳になっているが、相変わらず困っている人を見過ごせない。雨降って地固まる式で揉め事はそれなりの解決を見るから読後感はよい(前作よりもビターさは薄らいでいるかもだ)。「終の小庭」と「撫子ひともと」がとくによかった。表題作は京都色が珍しく、楽しめた。何はともあれ、杳山が江戸から帰ってきてくれないと恋愛方面は進展しなさそう(笑)。

入り婿侍商い帖(二) 水運のゆくえ (角川文庫)

入り婿侍商い帖(二) 水運のゆくえ (角川文庫)

入り婿侍商い帖 2 水運のゆくえ/千野隆司
ざっくり言うと、もと侍の商人ががんばるシリーズ。ただの商人だったら巻き込まれないような厄介ごとが降りかかってきて、しかもただの商人だったら到底ムリな方法で乗り越えていくのが意外性があって面白い。あと、基本的に品がいいって言うのかなぁ、キャラも展開も、鼻につくところがない。なので幼い頃のトラウマで口がきけず男が怖い妻と少しずつ心を通わせていくという少女漫画的な流れにも素直に萌えられる。