読了本

幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部

幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部

幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部/山本弘
シリーズ2作目。今回はBBが2回行われるけど、対外戦じゃないので前作みたいにイヤな汗をかいてしまうような緊張感はあまりない。が、内輪の集いだからといって手を抜くわけではない。いつでも全力投球! 明日香の紹介した『七時間目の怪談授業』には泣かされたわ……ずるいと最初に思わせるところが策士だよな。〈全参加者がその場が楽しい場となるように配慮する〉というルール、遵守するのはなかなか難しいところもあるんだろうね。意見が合わなきゃ摩擦も起こるわけで。だからこそ終盤付近の先生の言葉は胸に沁みた。

スカラブ号の夏休み(上・下)/アーサー・ランサム著、神宮輝夫訳
〈ランサム・サーガ〉11。ナンシイ、ディック、大おばさんと私の好きなキャラが出まくる巻。やっぱりナンシイは台風娘だねえ。みんな巻き込まれちゃって。大おばも災害級なのが、血は争えぬというやつで。Dきょうだいが通称「犬小屋」でピクト人生活をするくだりと、どろぼう騒動が起きるところが楽しい。ティモシイの小屋がここで役立つとは。あとやっぱりマリアおばの失踪事件なども、よく練られた構成ですばらしい。これだからランサムはやめられない。

世直し小町りんりん/西條奈加
『朱龍哭く 弁天観音よろず始末記』asin:4062174669の改題文庫版。しかし“りんりん”って一体どこから出てきたのだ……(『まるまるの毬』と揃えた?)。 誰がお蝶の味方で誰が敵なのか、終わり近くまで分からないのがハラハラドキドキ。老僕の作蔵がお嬢の技名(自分でつけた)を叫ぶのにはついついニヤニヤ。ラブコメ展開のその後が知りたいので続編が出るといいんだけどねぇ。『善人長屋』も続きが出たし、期待したい。

イーハトーブ探偵 山ねこ裁判 賢治の推理手帳II/鏑木蓮
続編が出た! 嬉しい! ホームズ役のケンジと、ワトソン役の親友カトジの岩手弁のやりとりがほのぼのしていていい。謎解きはいつもケンジの書いた童話と絡めて行われるので、思わずそっちも読みたくなる。しかし妹トシを亡くし、謎を解くたびにこの世の苦悩を背負い込んでしまうケンさんのことが、カトジならずとも心配でならない。続きは楽しみなんだが……。