読了本
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/09/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (46件) を見る
『指輪物語』と同じで寓話を意図したものじゃないのだろうけど、〈火馬の民〉にどうしても某テロ集団とか脳裏に浮かんでしまう……。パンデミックの恐怖と絡めたオタワル医術もちょっと進み過ぎじゃないかなという気がして、架空の世界の話として切り離して楽しめないところはあったのだが、読みごたえがあった。〈鹿の王〉についてのヴァンの父の見解が胸にしみた。ただ、希望を残して終わるラストは何となくいままでの上橋作品だったら前向きながらももっとシビアな結末を迎えてた気がして、どこかすっきりしないものは残った。私たちの生命活動を統制しているのはいったい“何”なのか? SF方向に行かないでファンタジーにとどまるにはちょっと微妙なテーマだったかも……。なにはともあれユナちゃのその後を描いたスピンオフ希望。
- 作者: 山口恵以子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/05
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
錦絵に描かれた評判の美女たちが殺される。その目的は? シリーズ2作目。前作は人を狂わす妖刀を狩るというノワールアクション伝奇だったが、今回は捕物帳色が強かった。私はこういう方が好きだが、おれんのキャラを立てるには前作が必要だからねえ。謎がラストで一気に解けるのではなくて、小出しに解けてくのがちょっと新鮮だった。しかし今回の展開もいろいろと男受けがしなさそうな……。文三さんいいキャラだよね、BLだけどおかげでおれんの純粋な協力者でいてくれるし。太一を含めた辰巳屋の居心地よさがたまらん。続きが出るといいなぁ。