読了本

鹿の王 (上)  生き残った者/上橋菜穂子
さすがに面白い。読みだしたら頁をめくる手が止まらなくなった。謎の激烈な病から生き残った戦士ヴァンと幼子ユナのパート、そして病の治療法を探る医師ホッサルと従者マコウカンのパート、それぞれまったく趣の異なる流れが合流する日も近いのだろうか。どうも黒狼熱は人為的に発生させられたもののように思えるのだが……。政治と恩讐の狭間で翻弄され続ける人々の命を、医療の進歩がどれだけ救えるのだろうか、と考えるとやや虚しいものがある。でも上橋さんなら読者を凡百の結末には連れて行かないはず。おがきちかで脳内コミカライズして楽しみつつ、下巻へなだれこみます。

邪剣始末 (文春文庫)

邪剣始末 (文春文庫)

邪剣始末/山口恵以子
食堂のおばちゃんが松本清張賞を受賞、と数年前にニュースになったが、その作者のデビュー作が復刊された。時代活劇もの書いてたんだね。個人的にはかなり面白かった。艶っぽくて腕が立ってさばさばしてて男に溺れない(惚れない訳ではない)おれん姐さんはかっこいいが、中年男性受けはしないかもなぁ。「こんなものか」とか言われたら鼻白むよね。でも山口さんにはこれからもそういう男前な女を書いてほしい! こまっしゃくれた太一も微笑ましくてよかった。続きも出てるので楽しみ。