読了本

私が愛したサムライの娘

私が愛したサムライの娘

私が愛したサムライの娘/鳴神響一
表紙とタイトルから史実寄りの話なのかと思ってたら、わりと伝奇寄りだった。なんと言ってもヒロインが忍びなんだもの。山風ほど破天荒じゃないけど、まあいろいろと……。でも雪野はくの一とも武家娘とも少し違う、もっとロマンティックな存在だった。師匠の左内とダブル主人公だったのだけど、どちらも非情さの薄い人間味のあるキャラで、その分やや甘めな展開になってはいたがなかなか楽しめた。ハーレクイン的な面白さがあるのかも。個人的には“その後”のほうに興味があるので第2部を書いて欲しい。

旅はワン連れ

旅はワン連れ

旅はワン連れ/片野ゆか
マドは究極のビビり犬。荒療治として長期タイ旅行を思い付いた作者夫婦が、珍道中を写真入りで紹介。いや〜、大変だわこりゃ! もとはウェブ連載だったのね。マドという名は“お父さん”ことノンフィクション作家の高野秀行が『謎の独立国家ソマリランド』を書いた縁でソマリ語の「黒」から命名。スリングでじっとしているのも賢くて可愛いが、ビーチでノーリードではしゃぐマドにはちょっと涙出た。せっかくだからもっと「アジワン(アジアのわんこ)」と触れ合う姿も見たかったけど、性格的に無理だもんね。

ニッポン弁当

ニッポン弁当

ニッポン弁当/猪本典子
ページをめくるたび、うまそうすぎて悲鳴をあげたくなる。筆者はフードライターかと思いきや、略歴によれば美術系の人らしい。だから後半は模型を使ったりしてるのか。しかし日本の弁当ってすごいね。美しいね。細かいところまで神経が行き届いてるね。自作コーナーには改めて仕出し弁当の知恵と手間暇を思い知った。5000円もするようなのは手が出ないが、1000円前後のお手頃価格のは食べてみたい。姫路の足軽弁当、富士山船弁、築地のとり弁当、しまなみ海道ちらしずし……行かなきゃ食べられない訳だが。出不精なので憧れてるのがせいぜいかな。