読了本

かぜまち美術館の謎便り

かぜまち美術館の謎便り

かぜまち美術館の謎便り/森晶麿
地方美術館に赴任してきた子連れ青年が、埋もれた謎を掘り起し町の淀んだ空気を一掃していく連作短編ミステリ。面白かった。美学に造詣が深い作者だけあって近代西洋絵画と絡めた個々の謎解きも、徐々に過去の真相が明らかになる流れも面白かった。子ども視点を活かした日常の謎ものと見せかけてシリアスなところに落とし込むのもよかった。甘い締めになるかと思わせてほろ苦く終わるのはひとところにとどまらない「風」がテーマだもの、許す。でも黒猫シリーズでこうなったら泣くから!!!
取り上げられた絵画は画像検索で参照した。ピカソ≪パイプを持つ少年≫、シャガール≪私と村≫、ゴッホ≪種をまく人≫、マティス≪ダンス≫、セザンヌ≪大水浴図≫、ゴーギャン≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫。ネットはほんと便利だなぁ。元の絵をそのまま使うんじゃなくて、ひとひねりしてあるのがいいね。