読了本

恋する狐

恋する狐

恋する狐/折口真喜子
踊る猫の続編。ほんのり不思議なことが起こるところに、ちょこっとだけ蕪村さんがかかわるが、とくに何かする訳でもないのがいい。「燕のすみか」がいちばん好きだった。嫁も惚れ惚れする男前な姑(笑)。「鵺の居る場所」には何だか泣けてしまった。「ほろ酔い又平」は若沖さんがゲストで登場、妙にゴージャス感が漂っていて面白かった。しかし「箱の中」の美峰さんには驚かされたなあ……。「鈴虫」はかまたきみこに漫画化してほしいね! 

オウリィと呼ばれたころ 終戦をはさんだ自伝物語/佐藤さとる
戦中戦後に多感な少年時代を送った佐藤さん。大変な時代だったのだろうが、わりと飄々とつづられている。何となく宮崎アニメみたいな雰囲気。コロボックルの世界の萌芽もこの頃だった。チィサコ族の髪がすみれ色なのは漱石のせいだったのね。ときどき差し挟まれる“別の家族の消息”はそうなんじゃないかなーと予想はしてたけど、想像以上にラブかった。やはり佐藤さんは恋愛体質。有川さんとは真逆のベクトルだけど。