読了本

利休の茶杓 とびきり屋見立て帖

利休の茶杓 とびきり屋見立て帖

利休の茶杓 とびきり屋見立て帖/山本兼一
シリーズ4作目。表題作もよかったが、「鈴虫」がとくに好きだった。「ものいわずひとがくる」もいいし、狐のマネをするゆずも可愛かった。芹沢鴨ジャイアンっぷりも癖になる。幕末の京都という舞台と、茶道具のうんちくと、若夫婦の仲睦まじさにピンチの切り抜け方という要素がまったりほっこりと混ざりあっていて、このシリーズはほんとに楽しい。主人公がいたって普通の人というのは著者の作品のなかでもやや特殊な気がするが、無理なく楽しそうに描かれているからきっと著者も気に入っている作品だったのだろう。末永く続いてほしかったけれど、著者急逝によりそれもかなわなくなった。とてもさみしい。