読了本

黄金の烏

黄金の烏

黄金の烏/阿部智里
シリーズ3作目。意外に大長編になってきたな。八咫烏の一族が支配する世界、という設定は本格ミステリとしてのネタを成立させるための箱庭(よく新興宗教とか隔絶された農村とか、特殊な場が用意されることあるよね)なのかと思ってたんだけど、この異世界の成立じたいに謎が込められているならそれはファンタジーの領域だ。十二国記じみてきたな、金烏も王と麒麟を足して割らないみたいなもんだし。ちょっとSFっぽい匂いもしてきたんだけど……? 人はともかく猿はいったい何なのか。前作までの“宮廷の陰謀劇”から今後は“進撃の巨人”的な展開にシフトしてくのかしら。まあ雪哉の再登場とレギュラー化は嬉しい限り。次巻は3年後に話が飛ぶのかな。

鬼心の刺客 素浪人半四郎百鬼夜行(二) (講談社文庫)

鬼心の刺客 素浪人半四郎百鬼夜行(二) (講談社文庫)

鬼心の刺客 素浪人半四郎百鬼夜行(二)/芝村凉也
シリーズ2作目。ああ、またなんだか展開がもっさりしてきちゃった。お江戸が何やら剣呑なことになりつつあるらしいんだけど、もったいつけないでサクサク話を進めればよいのに。「産土神の愛でし女」は「タイムスクープハンター」でそっくり同じような話をみたなあ……。あと現代視点での説明(しかもカタカナ語まじり)を入れるのも雰囲気が壊れるからやめてほしい。