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死体捜索犬ソロが見た驚くべき世界

死体捜索犬ソロが見た驚くべき世界

死体捜索犬ソロが見た驚くべき世界/カット・ワレン著、日向やよい訳
「見た」というより「嗅いだ」というべき? 犬と犯罪捜査、両方のテーマが楽しめる私得な一冊だった。犬の仕事のなかでもひときわ特殊な“死体捜索”。死体(それも人間の)を探すためには生来の素質と訓練の質がとても大事だが、どちらも一筋縄ではいかない。穏やかな日常にはなじまない要素だからだ。ソロの飼い主である著者は女性で大学教授というキャリアをもっており、死体捜索は趣味かつボランティアらしいが、やりたいことに突き進むいっぽうで非常にナイーブな感情のなかで揺れ動き続ける。そのギャップがいっぷう変わった面白さを醸し出していた。第17章のトビラには思わず涙。