読了本

結び屋おえん 糸を手繰れば

結び屋おえん 糸を手繰れば

結び屋おえん 糸を手繰れば/志川節子
なかなか面白かった。とはいえ、スカッとするというよりはモヤッとする読み心地。不貞を疑われて嫁ぎ先を追い出され、実家からも出入り禁止になって一人で長屋住まいをしてるおえんが、ひょんなことから人と人との縁を取り持つ仲人業をはじめるのは最初のうち少々違和感があった。けれど徐々に大店のお嬢さん気質が抜けていき、いくつもの心の傷と向かい合ってひとりの女として自立していく姿は印象的だった。ラストは少し寂しすぎたが、これからは辰平との縁が深まっていくのかな……だったらいいな、と。