読了本

暗い越流

暗い越流

暗い越流/若竹七海
女探偵・葉村晶ものを含むミステリ短編集。葉村晶に久しぶりに会えて嬉しくなった。『黒いうさぎ』以来かな? シニカルでユーモラスでタフでトホホなキャラは相変わらず。相変わらず体張ってんなぁ……って、普通なら笑うところじゃないのに思わず笑ってしまう。表題作はいろんな意味で綺麗に騙された。短編の並び順もトリックのひとつ? オチもブラックさが程よくきいてて面白かった。殺人熊書店、その元になった短編も載せてくれればよかったのにー! 「ミステリ専門書店を事務所代わりに仕事をとる女探偵? 恥ずかしいわ。」で吹いた。

犬と、走る

犬と、走る

犬と、走る/本多有香
スポーツとしての犬ぞりレースに魅せられて単身カナダに渡った女性が綴るノンフィクション。面白くてイッキ読みしてしまった。文章や構成がうまい。自身のことだけでなく周囲のこともきちんと客観的に観察できる人なのだと思う。犬たちにはさらに愛情深い目をそそぐ。その割に行動は無鉄砲で無頓着で、とにかく無茶だ。犬ぞりのマッシャーに「なる」ことも大変だが、で「ある」ためにはさらなる苦労を背負わなければならない。体力的にも金銭的にも追いつめられるのだから。それでも目標に向かってひた走る姿こそが著者の魅力でもある。