読了本

猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)

猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)

猫間地獄のわらべ歌/幡大介
メタメタな時代もの本格ミステリ、第一弾。ちょっとこれホントにおかしい。面白くて、とにかく変! こんな悪ノリは一発芸だろうと思いきや、第二弾の『股旅探偵上州呪い村』がまた輪をかけて変で面白かったんだよねえ。もともと時代小説の書き手なので、分かっててハズしてくる、そのさじ加減がとても楽しい。本格ファンへのくすぐりも巧い。わらべ歌のくだりや「読者への挑戦状」には吹き出した。でも意外なほどしっかりした本格ものだ。中盤は気持ちよく騙された。最後のサプライズはすれっからしの読者だとうすうす気づくかも。ミスリードはあったけど、196頁で確信して、後はにやにやしながら読んだ。作者のメタじゃない本格ものも読んでみたいな。

相も変わらず きりきり舞い

相も変わらず きりきり舞い

相も変わらず きりきり舞い/諸田玲子
十返舎一九の娘・舞が周囲の変人たちの突拍子もない行動に悩まされる。『きりきり舞い』の続編。前作は読んでないが、でもまあ同じような調子で舞が翻弄されてるんだろう。こないだちょうど『百日紅』を読み返したところなので、北斎の娘お栄の言動がなかなか楽しかった。一九の家に居候中のお栄は、ぶっきらぼうかつ大雑把なようでいて、意外と繊細なところもあるという……決して美人じゃないし、絵の事しか頭にないけど、ちょっとかわいい。お栄が出てるなら前作も読もうかな。