読了本

名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理/森晶麿
黒猫シリーズよりやや可愛らしい、アカデミックさの薄い他愛ない感じはキライじゃない。『浜辺の歌』の解釈が冴える「浜酔いロジック」とか好きだった。飲んでクダまいてるだけのスイ研はなんとなく、森見登美彦の「詭弁論部」を思い出させる雰囲気がある。でもこちらはぜんぜん非モテじゃないんだよね。むしろモテまくってる。部員の幸福度も段違いだし。……やっぱりぜんぜん似てないか(笑)。ときどきめっちゃいい酒飲んでるので羨ましい。

七色の毒

七色の毒

七色の毒/中山七里
長編なのかと思ったら連作短編集だった。割と展開があっさりしてて軽く読めるのだが、タイトルどおり毒含みなので読後にもやもやが残る。そういう意味では、人物が比較的書き込まれている最後の章は読みごたえがあった。誰が犯人なのか終盤まで引っ張った「青い魚」、透けて見える元ネタとのからみが気になる「白い原稿」あたりも面白かった。『切り裂きジャックの告白』のスピンオフだったみたいなので、そちらも読みたい。