読了本

冬虫夏草

冬虫夏草

冬虫夏草梨木香歩
物書きの綿貫征四郎が不可思議な存在と関わり合う様を描いた『家守綺譚』の続編。面白かった! 今回はいなくなった犬のゴローを鈴鹿に尋ね、ついでにイワナが営むという宿を探しに行く。逗留先の子供らが可愛いのと、宿の中居が河童なのとが区別されずに描かれる、このとぼけた感じが実にいい。怪異に遭っても動じないどころか気づきもしないくらいで。ふわふわモヤモヤとして何ひとつはっきりとはしないまま、唐突になだれ込んだ感動的なオチにはおいおいと突っ込みつつも笑ってしまった。ゴローさん、もう仕事はいいのかい?