読了本

クロノスの飛翔

クロノスの飛翔

クロノスの飛翔/中村弦
時間の神の名を冠するくらいだから時間SFなんだろう、と読者に最初から思わせてしまうのはもしかしたらもったいなかったんでは。見せ場に意外性がなくなるもんなあ。ことごとく「やっぱそうなのね」と。だから題材は壮大なのに、やけにあっさりした読み応えだった。初代の転生能力や2代目の時超え能力には何か理由づけがされるのかと思ったら特になかったし、俊太がこの状況をさくっと受け入れて動き回るのもちょっと違和感があった。実は隠れSFオタクだったりするんなら、水を得た魚みたいになるのも納得なんだけど(そうか?)。永史とは面識もないわけで……そういう意味では、現代パートの主人公は鳩ともなじみ深い須山だったらよかったんじゃないかなぁとも思った。伝書鳩と新聞社の関係は知らなかったのでかなり面白かった。